戸田市文化財ニュース
戸田市内で行った発掘調査や指定文化財などの情報を発信していきます。
前谷遺跡第12次調査
2022年(令和4年)9月から10月にかけて上戸田2丁目に位置する前谷遺跡で発掘調査を行いました。発掘調査では、弥生時代後期から古墳時代前期(今から約1900年から1700年前)にかけての周溝状遺構、江戸時代の溝が検出されました。
周溝状遺構を掘削している様子です。
同じく周溝状遺構を掘削しています。
前谷遺跡第11次調査
遺構の掘削を行っています
前谷遺跡第11次調査は遺構の掘削作業に入っています。周溝状遺構からは土器が多数見つかり、特に台付甕と呼ばれる昔の甕がほぼ一個体分見つかりました。調査後復元する予定です。
周溝状遺構の土器出土状況です。
下側が口縁で、上側が脚部になります。溝を埋める際に、甕をそのまま廃棄したと見られます。
前谷遺跡第11次調査を開始しました
2021年(令和3年)7月12日から前谷遺跡第11次発掘調査を開始しました。遺構検出作業を行い弥生時代後期から古墳時代前期の溝と周溝状遺構を確認しています。
発掘についての情報は随時発信していきます。
中央の黒い楕円が周溝状遺構の先端と見られます。
溝が3本重なる形で検出されました。
前谷遺跡第9次調査・第10次調査
2021年(令和3年)1月から2月にかけて前谷遺跡で、第9次調査と第10次調査を行いました。
前谷遺跡は、上戸田2丁目に広がる遺跡で、弥生時代後半から中世にかけての集落跡と方形周溝墓群跡です。
第9次調査
第9次調査では、弥生時代後期(2000年前)の有力者のお墓である方形周溝墓や、平安時代(1100年前)の幅2mを超える大溝やの畑の跡を確認しました。
方形周溝墓は、墓の周囲を四角い溝で囲むお墓で、中央部は溝の土をもって墳丘としていたと見られます。市内では鍛冶谷・新田口遺跡や南原遺跡などでも確認されています。
出土した遺物として方形周溝墓からは完形の高坏や小壺など、お墓の祭祀に用いられたと見られる土器が見つかっています。
方形周溝墓の写真。
方形周溝墓から出土した遺物。左は壺や甕、右は高坏。
平安時代の大溝、溝の下は水の影響で色が変わっています。
第10次調査
第10次調査では、弥生時代後期から古墳時代前期(2000年前から1700年前)にかけての周溝墓や周溝状遺構、溝状跡が見つかりました。
市内では第9次調査の方形周溝墓のように四角いお墓が多く見つかりましたが、今回見つかったのはやや円形を呈する周溝墓で前谷遺跡では初めて確認されました。
また、周溝状遺構は、溝が周っている遺構で、戸田市内よく確認されている「周溝を持つ住居跡」と見られます。昔の住居は、地面を掘りぬいた竪穴住居が有名ですが、戸田市は低地で地下水位が高いためか、地面を掘らない周溝を持つ住居跡が多く確認されています。
前谷遺跡第10次調査調査区の完堀状況。
やや円形を呈する周溝墓。
写真中央が周溝状遺構、溝は住居の排水にも用いられたと考えられています。
出土遺物、左は古墳時代前期の鉢、右は平安時代の須恵器の甕。