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広報戸田市 2021年11月号

戸田市立市民医療センター 所長 神経内科 いいじままさかず

「手が震えて字がうまく書けない」、「食事の時にお箸やコップをうまく持てない」、「他人に震えを見られるのが恥ずかしい」などで困ったことはありませんか?

手の震えには、寒い時、緊張した時、ストレスを感じた時などに出現する「生理的振戦」と、病的な原因によるものがあります。

病的なものの代表は、「本態性振戦」と「パーキンソン病」が挙げられます。「本態性振戦」は一定の姿勢をとり続ける際に出現する「姿勢時振戦」で、震えの原因で最も多く、人口100人に2.5~10人程度みられます。家族に同様の症状がみられることも多く、高齢になると有病率はさらに高くなります。一方、「パーキンソン病」では何もしていない時、筋肉が緩んだ時に出る「静止時振戦」が特徴で、神経難病の中では最も多い疾患です。動作が遅くなる、歩きにくくなるなど、さまざまな症状を伴いゆっくり進行する疾患です。

その他「甲状腺機能亢進症」や「慢性アルコール中毒」、「薬の副作用」、「小脳の疾患」などさまざまな原因による震えがあります。震えが気になる方は、是非一度神経内科を受診されることをお勧めします。