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広報戸田市 2017年10月1日号

 道端で香る金木犀の香り、橙に色づき始めた柿や木々など、市内のあちこちで秋の訪れを感じるようになりました。

 秋は「読書の秋」、「スポーツの秋」など、さまざまな楽しみ方があります。また、お月見にも最適な季節ですね。

 昔は、夕刻になると家の縁側にお膳を出して団子やススキをお供えする風景が、戸田の各家庭でもよく見られました。隣の家の団子をこっそり取る遊びが子どもの間で流行り、見つかって叱られた懐かしい思い出をお持ちの方も多いかと思います。

 しかし、現代のせわしい毎日の中、夜になると満員電車から降りた人々は一目散に家路を急ぎ、頭上に輝く月を目に留める人は見当たりません。便利で豊かになった生活は、私たちから風流を楽しむ心や時間を奪ってしまったようにも感じます。

 昔は月の満ち欠けで日を数えて農事暦としたり、月を見て詩や物語を紡ぎ、叙情やおとぎ話が生まれたりしました。人々にとって月は生活に欠かせないものであり、同時に安らぎ、憩いでもあったのでしょう。

 今年の中秋の名月は、2017年10月4日です。秋の夜長に、美しい月を愛でながら虫の声を楽しむ、そんな心のゆとりを大切にしたいものですね。