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国保財政の危機的状況と医療費の増大

掲載日:2017年1月16日更新

国保財政の危機的状況と医療費の増大について

国民健康保険の財政状況が全国的に危機的な状況にあることはご存じでしょうか?

戸田市は財政的に恵まれていると思われがちですが、昨今の増え続ける医療費に対して、必要な財源が確保できず、国保財政に関しては毎年多額の赤字が続いている状況です。(国保以外の会計も厳しい状況ですが。)

市としても様々な取組みを行っていますが、この状況を打開するためには、市民の皆さまのご協力が必要不可欠です。

ここでは現在の戸田市国保財政の状況と、医療費の状況の概要をお知らせしております。

国保の現状を少しでも多くの方々に知っていただき、皆さまが健康的な生活を送るため、また増え続ける医療費を抑制するために何ができるのかを、一緒に考えていきましょう。

下記内容の詳細はこちら

国保財政の危機 <健康についてみんなで考えましょう> [PDFファイル/632KB]

1.戸田市国保財政の現状

国民健康保険(以下「国保」という)の会計は、市の通常の会計(一般会計)とは違い、国保被保険者(加入者)のために国保事業を行う「国保特別会計」という独自の財布でやりくりしています。その財源(収入)は主に被保険者の皆さまがお支払いいただいている国保税や、国・県からの補助金等で賄わなければなりませんが、それだけでは賄いきれず、恒常的に赤字が続いている状況です。

その赤字補填のため、別の財布である一般会計からの繰り入れを行っており(予算科目上「その他一般会計繰入金」という)、本来国保に使う性質ではないお金が国保に使用されている状況です。全国的にもこのような状況ではありますが、戸田市ではこの繰入金の水準が県内一高いという点が問題となっています。

2.恒常的赤字の要因

(1)ぜい弱な財政基盤

国保制度は全ての国民が公的医療保険に加入する、いわゆる「国民皆保険制度」の基盤となる制度であり、社会保険などの他の医療保険に属さない人や生活保護受給者以外のすべての人を加入者としているため、人口の高齢化や、産業構造の変化等の影響を受けやすいという特徴があります。近年の景気低迷や、急速な高齢化に伴い、低所得者・無所得者が増加したことで、保険税負担能力の弱い加入者の割合が高くなっており、安定的な税収が確保できなくなってきています。

(2)増え続ける医療費

安定的な財源確保が厳しい一方で、医療費については、被保険者の急速な高齢化や、医療技術の進歩による治療費の高額化などに伴い、全国規模でみると毎年1兆円を超えるペースで増加している状況です。戸田市においても、国保会計上最も大きい支出である保険給付費(医療機関等への医療費のうちの7~9割分の支払や、高額療養費の支給などにかかる経費)については、2010年度(平成22年度)から2015年度(平成27年度)までの6年間で10億円以上増加しています。

また、被保険者の傾向でみると、戸田市の場合は、若年層の社会保険加入等の増加により被保険者総数としては年々減少していますが、65歳以上の被保険者は年々増加しており、高齢化による受診頻度の増加や、入院や高額な手術などを必要とする重症患者の増加などが医療費増大の主な要因として考えられます。

3.戸田市特有の問題点

(1)前期高齢者(65歳~74歳)の医療費の増加

国保の構造的な問題の他に、戸田市特有の問題点として挙げられるのが、前期高齢者(65歳~74歳の人)にかかる一人あたりの医療費が埼玉県内で最も高いという点です(2012年度(平成24年度)~2015年度(平成27年度)4年連続)。戸田市は平均年齢が県内一若いまちであり、前期高齢者を含む一般被保険者全体(0歳~74歳)の一人あたり医療費については、県内で最も低い水準となっています。しかし前期高齢者のみに着目すると県内最高水準になってしまうという不均衡を抱えています。

高齢化の波は戸田市においても例外ではなく、高齢者の人数が増えれば、当然高齢者の医療費も増大していきますが、戸田市では、国保加入者全体に占める前期高齢者の加入割合が26.2パーセント(県内市町村平均38.9パーセント)と、県内で最も低いにもかかわらず、前期高齢者の一人あたり医療費は県内一高くなっている状況です。これは若いまちであるが故の問題ですが、この不均衡の影響で、前期高齢者の医療費規模に見合うだけの交付金が制度上交付されず、歳入不足の要因の一つとなっています。

(2)前期高齢者関連データの他市との比較

前期高齢者の医療費に充てる財源として、国から前期高齢者交付金が交付されます。しかし、現在の制度ではその算定を前期高齢者の加入率を重視した算定方法で行っているため、加入率が県下一低い戸田市にとっては不利な算定方法となっており、実際に前期高齢者の医療費額がほぼ同水準である行田市との交付金額の差を見ると、戸田市は約9億円少なくなっています。つまり、支払うべき医療費に対しての市の負担額が行田市よりも9億円多いということとなり、このように戸田市では医療費と交付金額のかい離が大きいため、その不足分を国保税のみでは賄いきれず、その他一般会計繰入金に頼らざるを得ない状況となっています。

しかし一方で前期高齢者医療費をみると、戸田市より前期高齢者の被保険者数が多い北本市、桶川市、飯能市、行田市よりも実数として高くなっており、一人あたり医療費が高い要因が、加入率の低さによる数字上のからくりではなく、実際に前期高齢者の医療費自体が高いことによるものであると分かります。その他一般会計繰入金の使途のうち、この前期高齢者医療費の支払いに充てる金額が最も大きいため、この不均衡の解消に向けて、戸田市としても交付金算定方法の改正や他の補助金による補填など、かねてから埼玉県や厚生労働省に要望を上げているものの、このようなケースが少ないこともあり未だ実現していません。一方で支出面の取組みとして、医療費自体の抑制も急務であるため、市としても様々な取組みを行っていますが、被保険者の皆さまのご協力をいただきながら、さらなる対策を行っていく必要があります。

4.戸田市国保における疾病分析

(1)直近4年度において医療費の高い疾病

戸田市国保の被保険者が患っている疾病を、医療費が高い順にランキングにしたところ、人工透析による高額な治療が必要となる慢性腎不全が1位で、その予備軍とも言える糖尿病が4位となっています。また、高血圧性疾患や大腸がん、虚血性心疾患、脳梗塞、肺がん、脊椎障害がトップ10に入っており、腎不全と糖尿病を加えると、トップ10中8疾病が生活習慣に起因するものとなっています。さらに3位に統合失調症がありますが、うつ病を含めた精神疾患に係る医療費については、県内でも高水準となっています。

(2)2015年度(平成27年度)に一部疾病で医療費が急増

2015年度(平成27年度)において前年度と比べて医療費の伸びが顕著だった7疾病(ウイルス肝炎、大腸がん、白血病、虚血性心疾患、くも膜下出血、脳梗塞、腎不全)の年度中の推移をみると、ほとんどの疾病が10月に急増する傾向があります。この7疾病以外も同様の傾向であるため、月別医療費の総額で見ても10月が最も高くなっており、また毎年同様の傾向となっていますが、2015年度(平成27年度)は特に増加が顕著でした。はっきりとした要因は不明ですが、件数が急増しているわけではないため、10月に重症化したケースが多発したものと考えられます。

中でも特に増加が顕著だったのは、虚血性心疾患、くも膜下出血および脳梗塞の3疾病です。虚血性心疾患については、この4年間で最も増加率の高い疾病となっており、2015年度(平成27年度)の疾病別一件あたり医療費では県内でトップとなっています。虚血性心疾患のうちの多くは狭心症ですが、近年では狭心症から心筋梗塞に発展するケースが増えており、これが医療費増の主な要因の一つであると言えます。くも膜下出血と脳梗塞は共に脳の疾病ですが、2015年度(平成27年度)の特徴としては2疾病とも30~40代といった若年層にも発症が多く見られ、重大疾病の若年化が懸念されます。また、ウイルス肝炎については、9月に高額なC型肝炎の新薬が発売された影響もあり、10月以降増加傾向にあります。

5.国保制度の維持・安定化に向けて

(1)国としての取組み

「国保制度改革」…国保財政の安定化(財政基盤の強化)を図るため、2018年度4月(平成30年4月)から、それまで市町村が行っていた国保の財政運営を都道府県が担います。

(注釈)国保に関する各種手続きはこれまでどおり市町村窓口で行います。

(2)収入と支出のギャップ(赤字)解消に向けた市の取組み

これらの問題点に対して、市としても様々な取組みを行っています。

≪取組み一例≫
  • 医療機関から送られる診療報酬明細書(レセプト)の内容などの点検強化
  • 保険税の収納率向上に向けた、納税機会の拡大
  • 医療費データ分析に基づくデータヘルス計画の実施

(1)重複・頻回受診者への保健指導

  • 同じ病気で複数の医療機関を受診している人への保健指導

(2)ジェネリック医薬品の利用促進

  • 利用促進通知の送付、希望シールの配布等

(3)糖尿病性腎症重症化予防

  • 人工透析が必要となる手前の早期症状の人に向けた保健指導(生活習慣病治療中断者受診勧奨、健診異常値放置者受診勧奨等も含む)

(4)特定健診未受診者受診勧奨

  • 電話、ハガキによる特定健診の受診勧奨

(5)特定保健指導

  • 特定健診の結果から生活習慣病発症リスクが高い人を抽出し生活習慣病の予防と改善のための保健指導を実施

(3)国保加入者(市民)の皆さんが実践できること

医療費増加の問題は国や市の取組みだけで解決できるものではありません。前述したとおり、医療費が増加しても、国や県からの交付金が必要な分増額されるわけではないので、最終的には保険税率の引き上げについても検討せざるを得なくなります。 しかし、皆さん一人一人が健康意識を高め、一人一人にできることを実践することで、医療費は確実に削減できると考えています。皆さんの生活にも密接に関わる問題ですので、この機会にぜひご自身やご家族の健康について考えてみてください。

≪個人ができる取組み一例≫

(1)不要・不急な受診(コンビニ受診、時間外受診)は控えましょう。

  • 時間外や、深夜・休日での受診は救急医療の妨げになるうえ、診察料も加算になります。

(2)はしご受診(重複・頻回受診)はやめましょう。

  • 同じ病気で同時期に複数の医療機関にかかると、検査の繰り返しによって体に負担がかかるうえ、毎回初診料を支払うため、医療費も多くかかります。なお、はしご受診とセカンドオピニオンはまったくの別物ですので、重病や難病と診断され、セカンドオピニオンを受けたい場合は遠慮せずに、医師に相談しましょう。

(3)特定健診や人間ドックなどの検診を受診し、自分の健康状態を把握しておきましょう。

  • 病気が重症化する前に、早期発見・早期治療に努めましょう。特定健診は40歳以上の国保加入者であれば無料で受診できます。(毎年6月~10月)また、人間ドックは35歳以上、脳ドックは40歳以上の国保加入者で要件を満たす方に対して、費用の助成も行っていますので、ぜひご活用ください。

(4)生活習慣病の予防を心がけましょう。

  • 糖尿病や心疾患などの大きな病気は、普段の生活習慣が原因で発症することが多いと言われています。日頃の生活習慣が健全かどうか一度見直してみましょう。

(5)ジェネリック医薬品を活用しましょう。(ジェネリック医薬品希望シールやカードの活用)

  • ジェネリック医薬品は新薬と同等の効き目や安全性を持った低価格の医薬品です。利用することで薬にかかる費用負担を減らすことができますので、医師に相談してみましょう。

(6)適度な運動を継続的に行いましょう。

  • 1年間運動を続けることで、一人あたり7万円以上の医療費削減効果がみられた調査結果もあります。継続することが大事です。

(7)家族や友人と健康について話し合いましょう。

  • 病気自慢ではなく、実践している健康法など明るい話題を共有しましょう。

 

参考資料

戸田市国保一人当たりの医療費の状況について(2016年度版) [PDFファイル/238KB]

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