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戸田市人材育成基本方針

掲載日:2017年4月1日更新

戸田市では、総合振興計画に掲げる「幸せを実感できるまち」の実現に向けた仕組みづくりを着実に実行できる人材を育成し、「人材」を「人財」に変えて、戦略的な育成と活用をより一層図っていくことを目的に、「人材育成基本方針」を策定しました。

  1. 人材育成基本方針のあり方
  2. これまでの取り組みと課題
  3. 人材育成の方向性~求める人材像~
  4. 人材育成の取り組みにあたって
  5. 各取り組みのコンセプト

1.人材育成基本方針のあり方

地方分権の進展により、地方自治体は厳しい財政状況のもと、地域の自己決定と自己責任に基づく、持続可能なまちづくりと行政運営が求められています。自治体職員に求められる能力も目まぐるしく変化し、複雑高度化した課題や、多様化する市民ニーズに迅速かつ的確に対応していかなければなりません。より質の高い行政サービスを目指すとともに、戸田市に住むことを幸せに感じてもらえるよう、職員一人ひとりが市民との共通認識を持ち、協働で職務を遂行していくことが重要となり、職員の意識のより一層の改革が求められています。さらに、女性の活躍やワークライフバランスなど、社会全体が一人ひとりの働き方や生き方により密接した立ち位置へとシフトしてきていることがわかります。厳しい財政状況や少数精鋭による行政運営は、前人材育成基本方針の改訂時から5年が経過した今も変わらず、取り組むべき課題はより複雑さを増しています。

また、平成26年度には戸田市自治基本条例が施行され、平成28年度からは戸田市第4次総合振興計画の後期基本計画がスタートし、戸田市行財政改革プラン(第6次行政改革)も始まりました。いずれも戸田市の未来を形づくる重要な計画であり、職員が市民と一丸となって取り組んでいく必要があります。

言うまでもなく、各種計画を実現していくのは職員一人ひとりであり、組織は人(人材)で成り立っています。人材なき組織は、いくら優れた計画があっても、実現はできません。時代の変化、社会情勢の変化、市民の期待値の変化、行政を取り巻く環境の変化など様々な要素が交じり合い、その時々の必要に応じて人材育成基本方針は姿を変えてきました。その中で変わらないことは、これらを実現していくのは我々職員自身だということです。

そこで、時代の変化に対応し、総合振興計画に掲げる「幸せを実感できるまち」の実現に向けた仕組みづくりを着実に実行できる人材を育成するため、再び人材育成基本方針を変革する必要があります。さらに、行政運営における資源としての「人材」を意識し、戦略的な育成と活用をより一層図り、「人材」を「人財」に変えていくことが重要と考えます。おりしも平成28年10月1日に戸田市は市制施行50周年という節目の時を迎えました。いままでの50年間、これからの50年間、人材を育成するということは先を見据えるということであり、まさに未来の姿を想像するということでしょう。市民と作り上げてきたこの50年に思いを馳せながら、次の50年をきちんと見据えることができる職員。そのような人材こそがこれからの戸田市を支えていくのではないでしょうか。

2.これまでの取り組みと課題

1.これまでの取組み

戸田市人材育成基本方針は平成13年3月に策定され、平成19年3月、平成24年1月の2回の改正を経て、現在に至っています。その時々の組織が求める人材像を明らかにし、時々刻々と変わってゆく時代の変化に対応できる人材を育てるための指針として、この方針は存在しています。

そして前人材育成基本方針では、職員自らが学ぶことを基本とし、職員の成長過程を助けていくことで、竹がしなるような強さと柔軟性を備えた人材育成を推進するために、組織が求める職員のイメージを「自ら磨くしなやかな職員」と定め、求める人材像としては次の5点を掲げています。

  1. 自ら考え行動し、柔軟さをもって挑戦する職員
  2. 自らの強みと弱みを自覚し、自らを高められる職員
  3. 最小限のコストで最大限の成果をあげられる職員
  4. 戸田市への愛着と、戸田市民への愛情をもって仕事のできる職員
  5. ともに職務を遂行する仲間との絆を大切にし、チーム力を上げることのできる職員

これにより、組織が求める人材に近づくための育成のあり方を明確にし、方針を具体化するための「人材育成計画」をはじめ、毎年度策定する研修計画にも人材像の考え方は反映されています。また、各研修終了後に実施するアンケートや受講報告書をとおして、研修の効果を検証し、次の研修に役立ててきました。さらに、必要とされるスキルと職員のニーズを明らかにするため、全職員を対象とした研修アンケートを実施し、職員の意思を毎年の研修計画に反映してきました。

この人材像は、戸田市を取り巻く環境の変化に対応するため、過去の改正の度に少しずつ姿を変え、その時々に見合った人材のビジョンを掲げています。しかし、たとえ姿は変えても旧方針の理念は普遍的なものであり、基本部分は今後も踏襲していくべきものと考えます。そのうえで、策定時にはなかった課題、既に解決してきた課題、これから挑んでいかなければならない長期的な課題等を考慮し、戸田市第4次総合振興計画後期基本計画や戸田市自治基本条例、戸田市行財政改革プラン(第6次行政改革)ともリンクした新たな人材像を明らかにしていく必要があります。そのため、旧方針の骨格部分は残しつつ、次の50年を見据えた先に必要とされる人材を育成するためのエッセンスを加味した方針を新たに掲げていきます。

2.今後の課題

これまでの人材育成基本方針は、戸田市の職員イメージである「自ら磨くしなやかな職員」を実現させていくために、職員一人ひとりが「危機意識」や「コスト意識」、「経営感覚」、「自治体間競争」といったキーワードを意識し、成長することを後押ししてきました。さらに、職員が市政を担う経営者・実践者としての自覚を持ち、課題解決に向けて果敢に取り組むことを支援する組織体制の構築に努めてきたところです。そして、一人ひとりがそれぞれの持ち場で最大限の力を発揮するために、職員の能力を向上させ、「自ら学び、考え、行動する職員」を育てていく取組みを実践してきました。その結果、職員の努力によってあらわれた実績等を新たな人事評価制度に基づき、適正に評価することで、職員のやる気を高め、個人の能力を最大限に引き出すことにも力を入れてきました。

一方で、社会情勢は大きく変化し、東日本大震災からの復興に向けた取組みや、危機管理意識の改革は我々職員にも多大な影響を与え、大きな変革をもたらしました。また、戸田市自治基本条例の施行により市民との協働がより一層意識され、組織改革にもその変化は投影されています。そして、ワークライフバランスやダイバーシティ、ウーマノミクスやイクメン、イクボスといった新しい言葉に象徴されるように、男女共同参画、仕事と生活の調和といった考え方が社会全体に浸透し、女性活躍推進法が施行されるなど、「職員としてどうあるべきか」に加えて、「一人の人間としてどのような人生を選択していくか」というところにまで、行政が関わる範囲が広がってきています。その反面、女性の社会進出に伴い、保育園や学童保育室等の需要が急激に高まり、戸田市においても待機児童対策といった新たな地域課題が生まれてきました。

また、職員構成の変化に伴い、これまでは若年層から中堅層職員を中心に育成を図ってきましたが、団塊世代の大量退職が終息し、これからは現存する職員が大量退職による空白をいかに埋めていくかがキーポイントとなってきます。そこには雇用と年金の接続による再任用職員の活躍も欠かすことはできません。さらに下記のグラフからもわかるとおり、今後10年の戸田市を支えていく世代である50歳代前半の職員数が少なく、各年代にも人数の偏りが見受けられます。若い世代の登用でリーダーとなれる人材を育てた後には、また団塊世代のような人数構成の厚い世代が控えています。そういった背景からも、組織としての経験値不足が予想される中、社会情勢の変化に伴う新たな課題に挑むためには、先人からの知識や技術の継承を含め、組織全体で連携・協力しながらより大きな力を生みだすような人員配置や職務分担、さらには信賞必罰の徹底が引き続き必要と考えられます。

職員年齢構成の分布

3.人材育成の方向性(求める人材像)

前人材育成基本方針が策定されてから5年が経過しましたが、その間にも我が国ではアベノミクスによる経済再生への取組み、社会保障制度の安定に向けた消費税率の引上げ、まち・ひと・しごとによる地方創生の総合戦略、一億総活躍社会をうたった多種多様な働き方の推進など、社会の様相は目まぐるしく変化を続けています。

少数精鋭による行政運営、厳しい財政状況、地方分権による業務範囲の拡大、自治体間競争、個人情報保護、地域防災、市民との協働、人口減少問題と高齢化社会への対応などなど数え上げれば切りのない課題を乗り越えていくためには、単に個人が研修を受けて自己スキルを磨けば対応できるというものではありません。限られた資源(ヒト、モノ、カネ)で限りない課題に挑み続けるには、全てがバランスよく配分されなければなりません。そのためには、目の前にあるものをただこなすだけでなく、適切な判断による取捨選択が常に必要になります。些細なことにもよく気づき、市民に寄り添い戸田市を支える。過去と未来を結ぶとともに、人と人とのつながりを築く。そのための成長を厭わない存在。確かに厳しい状況ではありますが、そのような状況下でも将来の可能性を限定することなく、そこから先の未来を正しい方向へ切り開いていける人材が、職員として目指すべき人材像です。

市制施行50周年を機に、次の50年を見据え、組織が求める職員のイメージを「気づき、支え、つないでゆく職員」と定め、求める人材像を明らかにします。

1.求める人材像

  1. 思いやりがあり、頼りになる職員
  2. 長期的視点を持ち、今何をすべきかを主体的に考え行動に移せる職員
  3. 自らも成長しつつ、周りの成長も促すことができる職員
  4. 政策に込められた願いや理念を大切にし、未来につないでゆける職員
  5. 物事を肯定的にとらえ、失敗を次に生かすことができる職員

2.職員に必要な能力

職員一人ひとりが、求める人材像に近づいていくために必要な能力を、前人材育成基本方針から引き継ぎ、次のように定めます。

求められるもの項目内容
1.概括的な能力・視点
求められる能力企画・立案能力社会の動向、環境の変化を的確にとらえ、政策を構想し立案する
判断・決断能力広い視野を持ち、経験と知識に応じて最適な判断・決定を下す
折衝・交渉能力市民等とのコミュニケーション力。相手方の立場を理解し、当方の状況を的確に伝え、理解と納得を得る
業務遂行能力組織目標を把握し、専門的知識を活かし、主体的に自らが行動することにより業務を遂行し成果を収める
情報活用能力数多くの情報から価値ある情報を取捨選択し、活用する
育成・指導能力部下や後輩、後任者などが組織目標に向け能力発揮できるよう育成・指導・助言を行う
危機管理能力災害などの際、組織における自らの役割を自覚し、的確に行動する
求められる視点市民の視点
市民との協働
戸田市を愛し、市民の目線に合わせ、市民の立場で発想ができ、市民への説明責任を果たす
市民と共にまちづくりに取り組む高い意識をもつ
チャレンジ失敗を恐れず、困難な課題に果敢に挑戦する
チームワーク組織の構成員である自覚を持ち、周囲と協調・協力して業務遂行にあたる
規律・コンプライアンス全体の奉仕者であることを自覚し、高い倫理を保持しつつ自らに課せられた課題に全力で取り組む
先見性広い視野と好奇心をもって時代や環境変化を的確にとらえる
クリエイティブ前例踏襲を前提とせず、柔軟な発想でこれまでにない視点から業務をとらえる
コスト意識自らの業務にどれだけのコスト(予算、時間)がかかるかを意識し、より費用対効果の高い方法を選択する

職位別に必要な役割と能力

職位必要な役割と能力
2.職位別の役割と能力
管理職部長職長期的、総合的な視点で考え判断する
【経営管理能力、経営戦略の立案・実践力、政治的折衝力、決断力、先見力、リーダーシップ、危機管理能力】
次長職部長を補佐しつつ、特に重要かつ困難な課題に取組み、部局間の調整を行う
【政策・課題調整力、リーダーシップ、折衝力、対人能力、先見力】
課長職職場の総合力を高めるリーダーシップを発揮する
【政策決定・実践力、折衝力、意思決定力、対人能力、リーダーシップ、組織管理能力、危機管理能力】
主幹職課長を補佐し、自らも業務に取り組むプレイングマネージャー
【政策構成・企画力、対人能力、調整力、指導力】
監督・一般職副主幹職施策を立案・実施し、担当をリードする
【業務専門能力、政策立案能力、指導者育成能力、計画・統制力、対応力、情報収集分析力、法務能力】
主査・主任職副主幹を補佐し、業務に精通し、円滑に遂行する
【業務専門能力、後輩指導、企画立案能力、政策形成能力、法務能力】
主事・主事補相当職広く学び、進んで実践する
【基礎的知識、業務専門能力、問題発見・解決能力、事務改善能力、政策形成基礎能力】
現業職チームワークとコスト意識をもって、業務を確実・迅速に遂行する
【基礎的知識、業務専門能力、問題発見・解決能力】

 

4.人材育成の取組みにあたって

人材育成を取り組むにあたって、その担い手は誰かというと、職員一人ひとりであり、組織でもあります。冒頭で、組織は人(人材)で成り立っていると述べましたが、それは、「組織が人をつくる」とも言えます。人が組織をつくり、組織が人をつくるという人材育成のサイクルの中で、職員は市政の担い手であるという自覚を持ち、自己投資・自己研鑽を行い、「気づき、支え、つないでゆく職員」を目指していかなければなりません。また、組織としては、職員が日々仕事をする環境を整えることはもちろんのこと、職員の自己啓発の機会をつくることも重要になります。加えて、職員の仕事の経過や成果を適正に評価し、個人の能力を組織力に繋げる仕組みづくりが必要です。職員が自己の努力で成長することと、組織のバックアップを受けて成長することの両輪が機能することで組織が成長し、組織の成長は職員の成長を促し、戸田市の発展を支えていくことになります。

人材育成において最も重要なことは、研修の充実だけではなく、安心して働くことができる良好な職場環境があり、異動や昇任、人事評価といった人事管理制度と連動して相互に作用していることです。さらに言えば、これらの人事管理制度は、人材育成をその目的として存在しているということです。研修の充実ということならパワーアップ研修(階層別研修)に見るように、これまでの研修体系において十分図られてきていますが、ここから人材育成をさらに進めるためには、研修を研修という点で終わらせるのではなく、人事管理制度ときちんと結び付けていくことが必要です。また、異動や昇任、人事評価などの制度が人材育成を目的としていることを意識し、運用していくことも必要です。さらに、人材育成を進めるためには、より良い職場環境の創出や健康管理の支援なども重要です。

イメージ図

5.各取組みのコンセプト

4で述べたことを踏まえ、人材育成基本方針における取組みについて、具体的な取組みは、本方針を受けて策定する「戸田市人材育成計画」に掲げることとします。ここでは、人材開発、人事管理制度、職場環境・健康管理からの各取組みについて、そのコンセプトを明らかにします。

1.人材開発におけるコンセプト

人材開発は、大きく分けると職場研修(OJT)と職場外研修(Off-JT)に分類されます。さらに自己のもつ能力や意識を自分自身で高める自己啓発(SD)が加わり、人材育成の大きな3本の柱になります。OJTは、日常の業務内でも実施されている上司や先輩職員からの指導により、職員の成長を促すものであり、人材開発の基本はOJTであると言えます。OJTでは、担当業務に当たりながら研修をしていくことで、その内容に対する習熟度を高め、組織内における即戦力化を図ることやスペシャリストの育成が可能です。上司や先輩職員の視点から見れば、OJTでは「知る」「理解する」「経験する」が一体的に行われるため、最も効率的に部下を教育することができます。

しかし、OJTを担当する職員であっても、業務の全てを熟知しているわけではなく、OJTのみで人材開発を実施するには限界があります。例えば、会計事務であれば、各課のOJTを担当する職員よりも会計課の職員の方が精通しており、事務の根拠や注意点などを的確に指導できるでしょう。そのような場合には、職場外研修の実施が有効といえます。職場外研修の目的は大きく4つあり、1つめは各年次や役職によって必要となる知識を習得すること、2つめはどの所属に配属となっても必要となる知識を習得すること、3つめは職場から離れて研修をすることで、短期間で集中的に必要な知識を習得すること、4つめは職場で学ぶことが困難な専門的知識を習得することにあります。

つまり、人材開発においてはOJTとOff-JTの両方があり、状況に応じて効果の高い方を選択することが、職員の成長に大きく寄与することになるのです。人材開発のコンセプトは、OJTとOff-JTの連動により、バランスよく研修を実施し、効果的に職員の成長を促すことだといえます。また、それは職場における職員同士の横のつながりを生み出すことにも関係します。Off-JTは人材開発の要素に加え、人間関係の構築やコミュニケーション能力の向上といった要素が付加されています。そしてOJTとOff-JTの連動を土台に職員自身がSDにより自らの能力をさらに高めることで、人材育成の効果は飛躍的に高まります。SDについては、職場は余計な手を加えずに職員本人に全て委ねることが望ましいと思われがちですが、本人の取組みのきっかけづくりを行うことや、上司や先輩職員が本人に対して声掛けを行うといった継続的なフォローが必要です。人材開発におけるコンセプトには、研修を実施する人事課だけではなく、職場における上司や先輩からの積極的な働きかけの重要性が内包されています。

研修区分目的
職員研修体系図
職場研修(OJT)職場内研修業務上必要な知識等の積極的な共有化、研修報告会等を開催し研修成果を職場に還元
フレッシュトレーニング新規採用職員の即戦力化、OJT指導者の養成
職場外研修(Off-JT)一般研修(人事課主催)パワーアップ研修新規採用職員、2・3・5年目職員、新任管理職など階層別に必要な能力の強化
チャレンジ研修各種専門能力の強化
特別研修パワーアップ研修、チャレンジ研修以外の基礎能力の強化
派遣研修研修機関専門知識の習得、他自治体職員との交流による自己啓発醸成、ネットワーク強化、内部講師養成、職場への積極的な還元
民間企業
人事交流
その他
自己啓発支援自己啓発の「きっかけ」の提供

2.人事管理制度におけるコンセプト

人事管理の諸制度については、組織の視点からも重要である採用、異動、昇任、人事評価を中心に取り組んでいきます。

1.採用

採用は人材育成の入り口です。採用時に求める人材を次のとおり示し、方針に掲げる求める人材像となる可能性を秘めたより良い人材を獲得する必要があります。

  1. 心身ともにタフな者
  2. コミュニケーション能力の高い者
  3. 何事にも前向きに取り組むチャレンジ精神旺盛な者
  4. 幅広い視野を持つ者
  5. 自己変革能力を持ち、成長できる者

これまで、職員採用のパンフレット作成や、民間企業との合同による採用説明会への参加などPR活動に努め、より良い人材を獲得するため、受験者の母集団を広げる取組みを行ってきました。その一環として、職員が大学へ直接足を運び、説明会を実施する機会を設けることや、採用試験において一次筆記試験の内容を変更するなど、今後も採用試験制度の中でいかに母集団から優秀な人材を見極めるか、その精度を高める採用方法のあり方を引き続き検討していきます。また、母集団の増減は社会情勢、とりわけその年の経済情勢の影響を受けやすい傾向があるため、どのような条件下でも安定した母集団を確保するための創意工夫が求められています。優秀な人材を確保するためには、単年度の定員数にとらわれるのではなく、中長期的な視点から採用者数を考える必要もあると考えます。

限られた人員で自治体運営を推進していく上で、職員一人ひとりは本当に貴重な存在です。新規採用職員には6カ月間の条件附採用期間がありますが、この期間は競争試験だけでは測れない組織への適性を入庁後、あらためて精査する試用期間として、組織にとって必要な人材を見極めていきます。

2.異動

人事異動は適材適所に人的資源を配置し、組織の活性化を図ることはもとより、人事異動を通じて、知識や経験を蓄積することで、職員自身のキャリア形成にも繋がります。定期人事異動にあたっては、市長ヒアリングや総務部長ヒアリング、また、自己申告書などを基に、適材適所の配置を行っているところです。

今後も職員一人ひとりのキャリア形成への意識付けをサポートし、組織の中核となる人材を育成するため、中長期的な視点で人事異動を行っていきます。

また、戸田市では、先に述べたとおり、今後10年の戸田市を支えていく世代である40歳代後半から50歳代前半の職員が少なく、各年代にも人数の偏りが見受けられます。加えて、技術職員が不足している中、職員の知識や技術、経験を次の世代へ円滑に継承していくことが必要となります。

3.昇任

昇任制度には、次の3つの機能があります。

1.インセンティブ

役職等が高いほど、給与が高く、組織内外で高い「地位」が得られます。また、自由裁量・やりがい等の程度が大きくなります(これを最大限に引き出す効果が期待されます)。

2.組織が求める資質・行動の基本型の提示

組織がどういう職員を高く評価するかを伝達します。

3.OJT、ラーニングと適材適所

より責任ある職務を担当することで、職員の人材開発につながり、職員の能力・資質の情報を蓄積し、職員と職務・役職のより良いマッチングに役立ちます。

戸田市の昇任は、主幹職まで、すべて選考により行われています。昇任選考制度については、職員自身がエントリーすることにより受考する客観試験型の副主幹昇任選考(B)や、勤務評定型の選考などを併用し、これまで若手職員の登用を図ってきました。

しかしながら、昇任したいという職員の割合が少ない状況が続いていたことも事実です。あくまで、戸田市の昇任は選考制度中心であることから、希望する職員のすべてが昇任できるわけではありません。ただ、「より高いポジションで仕事をしたい」という、上昇志向のある職員が増えないということは、組織全体の士気低下に繋がりかねません。

要因としては、昇任するメリットが少ないと考える職員が多いことにあると思われます。多様な行政ニーズへの対応と、効率的な行財政運営が求められる中で、管理監督職層としての職責が、現在の職階制度制定時の想定を上回り始め、昇任のインセンティブと釣り合いが取れなくなっていることが要因と考えます。

このため、職制のあり方について研究を進めるとともに、人事評価制度を運用し、頑張れば報われる仕組みづくりにより、職員のモチベーションを上げる取組みを行ってきました。その結果、過去の副主幹B選考の受験者の比率(受験者数/対象者数)は、平成20年度から平成24年度では平均15パーセント程度だったものの、平成25年度から平成28年度では平均30パーセント程度に上昇しています。確かに管理監督職としての責務の重さは高まっていますが、職員の士気も近年高まってきています。この流れを後押しするためにも、頑張った職員はきちんと報われる制度の確立が、引き続き重要課題であると考えられます。

さらに、女性職員のキャリア形成の選択肢の一つとして、女性職員の登用を進めると同時に、女性職員が人生そのものをキャリアデザインし、仕事へのモチベーションを高め、能力を生かすことができるよう、取り組んでいきます。そのためのきっかけづくりとして、女性職員に限定したキャリアデザイン研修を実施しています。そこではキャリアモデルとなる女性管理職員との座談会を実施するなど、女性職員同士の縦横のつながりを生み出す取組みも今後も積極的に行っていきます。

4.人事評価制度

戸田市の人事評価制度は、従来の勤務評定と目標管理の制度を統合し、改善した形で平成22年度から施行されました。制度は、勤務評定を引き継いだ「能力評価」と、目標管理を引き継いだ「業績評価」を大きな柱としています。また、制度は必要に応じて少しずつ改正されており、現在では能力評価は昇給や勤勉手当の成績率に反映し、業績評価は勤勉手当の成績率に反映しています。人事評価制度の最大のねらいは、「頑張った職員」や「成果を上げた職員」を適切に処遇することで、職員のモチベーションや資質向上に繋げ、組織を活性化させることにあります。

人事評価制度に関しては、どうしても処遇反映という点が注目されてしまいますが、人事評価の本来のねらいは、次のとおり人材育成にあります。

  1. 能力評価 : 面談をとおして、自分の強みと弱みを把握し、次に生かすことができます。
  2. 業績評価 : 組織の目標をとらえ、その中で自分が何をすればよいのか、また、目標達成に向け何をすればよいのか、考えることができます。

今後も、より公平で公正な評価が行われ、納得性の高い制度になるよう努めていくとともに、人材育成の面から、評価結果の分析を行い、研修などへ反映させていきます。能力評価や業績評価がただ単に成果主義ととられるような制度では、単年度の結果を求めることにばかり目が向いてしまい、職員を育てるといった中長期的な視点が失われるリスクが生じます。人事評価制度がきちんと人材育成と連動するためには、能力評価や業績評価が単年度の結果だけではなく、人材の将来性や発展性を引き出すためのツールになる必要があると考えます。そのことを職員全体が理解した上で制度運用を行っていかなくてはなりません。

3.職場環境・健康管理におけるコンセプト

職場環境や健康管理の面から、人材育成を支援するため取り組んでいきます。

1.職場環境

職員にとって一日の大半、つまり、人生の大半を過ごすのは職場であり、言わば、生活のメインステージです。このため、職場環境の良し悪しは、職員の人生を左右することにもなります。また、職場環境が良好な職場では、必然的に仕事の能率も向上し、より高い成果を上げることができます。それでは、「良好」とは、どのような状態なのか、それは、適度な緊張感がありながらも、職員同士が、自分の気持ちを気がねなく伝え合える状態だと考えます。

今後は、これまで以上に、職場でのハラスメントの防止に努めるとともに、ワークライフバランスを支援していきます。また、風通しが良く、職員間のコミュニケーションが盛んな職場風土が醸成されるよう、取り組んでいきます。

2.メンター制度の活用

従来の研修制度に加え、平成25年度からはメンター制度も導入しています。これは、社会経験を積んだ職員がメンター(助言者)となり、仕事の進め方や人間関係の構築、キャリアデザインなどについてメンティー(相談者)にメンタリング(助言すること)を通して、メンター・メンティー両者の成長を促すことを目的としており、原則異なる所属の職員をマッチングします。さらに、メンターとなる職員にはそのための養成研修を必ず受講してもらい、研修を受講した職員が増えることで、職場全体としてどこにいても誰にでも相談しやすい組織風土の醸成を図ることも目的としています。

3.健康管理

人は何と言っても「体が資本」です。心身とも健康な状態においてこそ、より質の高い仕事をすることができます。

これからも、過重労働対策やメンタルヘルス対策をはじめ、職員の健康上のリスクを回避・軽減できるよう取り組んでいきます。また、長期の病気休職者の職務復帰支援にも取り組んでいきます。

4.ストレスチェック制度の実施

ストレスチェックとは「心理的な負担の程度を把握するための検査」であり事業者においては、身体の健康診断とは別に、心の健康診断ならぬストレスチェックを実施しなければなりません。

ストレスチェック制度の主な目的は、職員のストレスの程度を把握し、職員自身のストレスへの気づきを促すとともに、職場改善につなげ、働きやすい職場づくりを進めることによって、職員がメンタルヘルス不調となることを未然に防止すること(一次予防)です。

年に1回ストレスチェックを実施し、その結果を本人に直接通知することで、職員はその結果から自身の心の健康状態を把握し、自らの健康管理やセルフケアに役立てます。

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