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情報公開審査会答申第3号

掲載日:2014年9月3日更新

諮問第3号

答申

1 審査会の結論

 1999年(平成11年)11月18日に戸田市教育委員会(以下、「市」という。)が異議申立人に対して行った、1999年度(平成11年度)「少子化対策特例交付金」の使途及び内容(教育分)に関する情報公開請求について、「少子化対策臨時特例交付金の活用について」と題する書面のうちの一部(臨時特例交付金交付限度額の合計及び教育分の使途3項目)のみを公開しその他の文書を非公開とした決定(以下、「本件部分公開決定」という。)は、不当であり、取り消されるべきものであって、市は、別紙目録記載の文書(以下、「本件情報」という。)を公開すべきである。

2 異議申立の趣旨及び経過

(1) 異議申立の趣旨

 本件異議申立の趣旨は、1999年度(平成11年度)「少子化対策特例交付金」の使途及び内容(教育分)について、市が異議申立人に対して行った本件部分公開決定の取消しを求めるというものである。

(2) 異議申立の経過

ア 1999年(平成11年)11月11日、異議申立人は、市に対し、戸田市情報公開条例(以下、「条例」という。)第6条の規定により、「1999年度(平成11年度)『少子化対策特例交付金』について金額及び使途(教育分)」の公開請求を行った。

イ 1999年(平成11年)11月18日、市は、上記の請求に対し、(1)国及び県と交渉中であり内容が確定していないこと、(2)法人名が出ることにより決定していない情報で混乱を招く恐れがあること、(3)金額については、12月議会に基金積立ての補正予算として計上予定であり、内容の確定については12年度当初予算に計上予定であることを理由として、条例第8条第1項第1号、第2号及び第4号の各号に基づき、本件情報を非公開とし、「少子化対策臨時特例交付金の活用について」と題する書面のうちの一部のみを1999年(平成11年)12月3日午後3時から午後5時に公開するという、本件部分公開決定を行い、この決定通知書は、1999年(平成11年)11月24日に異議申立人に送達された。

ウ 1999年(平成11年)12月3日午後3時、異議申立人は、戸田市庁舎3階情報公開コーナーにおいて、戸田市職員立会いのもと、公開された「少子化対策臨時特例交付金の活用について」と題する書面のうちの一部(臨時特例交付金交付限度額の合計及び教育分の使途3項目)を閲覧した。

エ 1999年(平成11年)12月15日、異議申立人は、本件情報の一部のみを公開した本件部分公開決定について、これを不服として、条例第16条に基づき市に対し異議申立を行った。

3 異議申立人及び市の主張の要旨

(1) 異議申立人の主張の要旨

 異議申立人の異議申立書及び意見陳述による主張の要旨は次のとおりである。

ア 公開を請求した情報

 異議申立人は、新聞記事により、国から市町村に対して「少子化対策交付金」が給付されることを知り、1999年(平成11年)10月20日までに、市から県を通じて国に対し、金額及び使途を記載した交付申請書が提出されることになっていたとの情報を得た。このことについて、異議申立人は、自ら県に電話で問い合わせ、戸田市から県を通じて国に対し交付申請書が提出されたことを確認した。異議申立人が行った情報公開請求は、請求時点では、この、1999年(平成11年)10月20日までに市から県を通じて国に対して提出された交付申請に係る書類(本件情報中、別紙目録アないしウの文書)の公開を求めたものであった。

イ 部分公開が不当であるとする理由

(1) 行政情報は公開を原則とするべきであり、「内容が確定していない」ことを理由として本件情報を公開しないのは、情報公開制度の趣旨に反する。

(2) 非公開の理由は、具体的かつ明確でなければならないところ、「決定されていない情報で混乱を招く恐れがある」という本件非公開の理由は明確性を欠く。

(3) 交付金の明細について議会の議決により確定していないことを理由として本件情報を公開しないのは、市民の「知る権利」を保障する情報公開制度を後退させるものである。

(2) 市の主張の要旨

 市の情報部分公開決定通知書、情報公開等決定不服申立事案諮問書及び意見陳述による主張の要旨は次のとおりである。

ア 少子化対策臨時特例交付金をめぐる経緯

 少子化対策臨時特例交付金をめぐる経緯は、別紙「少子化対策臨時特例交付金に係る経過」に記載のとおりである。

イ 本件部分公開を正当とする理由

(1) 条例第8条第1項第1号に該当する。

 本件情報が公開されると、どの幼稚園等にいくらの交付金が支給されるかが明らかになり、それら支給先に業者が取引を求めて殺到する等の事態が予想され 、対象となる幼稚園等の平穏な活動が維持できなくなる可能性がある。特に、交付金支給対象施設の中には、個人経営の保育室もあり、それらについては本件情報は、個人のプライバシーにあたるので公開するべきではない。

(2) 条例第8条第1項第2号に該当する。

 本件情報が公開されると、交付金支給対象の施設が特定されたうえ施設における使途が明らかになる。支給対象となる施設にとっては、この情報は、「法人等の事業に関する情報」であるところ、支給対象や額が正式に確定される前にこれらが公開されることにより、支給対象となるものとして公表された幼稚園等が批判や嫌がらせを受けたり、情報を得た業者が執拗に取引を求める等無用な混乱を招き、対象予定施設に不当な不利益を及ぼすことが予想される。

(3) 条例第8条第1項第4号に該当する。

 少子化対策特例交付金は、国の予算の中から、市町村に交付されるものであるが、市町村から県を通じて国に対し、事業内容を特定して交付申請をし、国がこれを適正なものと認めた場合に交付決定がなされるものである。しかるに、本件部分公開決定がなされた時点では、未だ国から交付決定が出ておらず、市は、県及び国と交渉中であり内容が確定していない。

 また、本件交付金は市に交付されるものであり、実施は2000年度(平成12年度)になるものであるため、まず、「少子化対策事業基金」として積み立てるべく、12月定例市議会にこの旨補正予算を計上する予定であり、さらに2000年度(平成12年度)の実施にあたっては、2000年度(平成12年度)当初予算に計上して議会の議決を得なければならず、それまで内容は確定しない。

4 審査会の判断

 審査会は、異議申立人及び市の主張、審査会における戸田市教育委員会生涯学習課などの陳述並びに同課などより提出された関連文書を検討した結果、以下の理由により、「1 審査会の結論」欄記載のとおりの結論に達した。

(1) 審査の対象となる情報

 異議申立人の情報公開請求にかかる情報は、「1999年度(平成11年度)『少子化対策特例交付金』について金額及び使途(教育分)」に関する一切の情報であると考えられるところ、総額及び使途の概要については公開されたと認められるので、審査の対象となるのは、さらに詳細な使途及び使途別の金額を記載した文書であるということになる。

 そこで、審査会は戸田市教育委員会生涯学習課などに対し対象情報の開示を求めて精査したところ、別紙目録記載の本件情報が公開対象となるものであると判断した。

 なお、本件情報のうち、別紙目録エないしカの文書は、異議申立人が情報公開請求をした時点及び本件部分公開決定がなされた時点では存在しなかった文書であるが、現時点においてこれらを公開せず、アないしウの文書のみを公開するときには、かえって不正確ないし誤った情報を開示することになって適切を欠くこと及び異議申立人の情報公開請求の趣旨に鑑みて、現時点においては併せて情報公開審査の対象となると判断した。

(2) 条例第8条第1項第1号の該当性

 市は、本件情報は、個人経営の保育室等にとっては個人のプライバシーに関する情報であって条例第8条第1項第1号により非公開とされるべきであるとする。しかし、条例第8条第1項第1号に該当する「個人情報」には、本件のような「事業を営む個人の当該事業に関する情報」は含まれないことが文言の上から明らかであるから、本条項によって非公開とすることはできない。

(3) 条例第8条第1項第2号の該当性

 次に、市は、本件情報は、「法人等の事業に関する情報」であるところ、支給先や額が正式に確定される前にこれらが公開されることにより、対象予定施設たる法人等の事業に不当な不利益を及ぼすので条例第8条第1項第2号により非公開とすべきであるとする。たしかに、本件情報(とくに別紙目録イ及びウの文書)には、幼稚園や保育所等の法人その他の団体及び事業を行う個人の当該事業に関する情報が含まれている。しかし、これらの文書に名前が挙がっている幼稚園等の団体には、戸田市内に存在する「少子化対策特例交付金」の対象施設として適合するすべての施設が含まれており、かつ金額の配分も保育している子供の数等の客観的な条件によって割り振られているのであるから、これらを公開することによって当該法人等又は事業を営む個人の競争上若しくは事業運営上の地位に著しい不利益を与えたり、社会的信用を損なうことになるとは到底認めがたい。したがって、本条項によって非公開とすることはできない。

(4) 条例第8条第1項第4号の該当性

 市は、本件情報が、条例第8条第1項第4号の審議、検討等に関する情報であると主張するので、この点について検討する。

ア 条例第8条第1項第4号の「審議、協議、調査、研究又は検討に関する情報」について。

 条例第8条第1項第4号の趣旨は、意思決定過程の情報がみだりに公開されることによって住民側の混乱や行政内部での率直な意見交換が阻害される可能性があるため、ある程度の非公開もやむを得ないものとして許容されることとしたものである。その趣旨に鑑みるとき、本号にいう「審議、協議、調査、研究又は検討に関する情報」とは、意思決定のために作成しまたは取得した資料やその経過の記録など意思決定の過程において発生し利用される情報をいうと解され、ある機関がその意思決定を終えた後の結果に関する情報や軽微な変更に関する情報は、「審議、協議、調査、研究又は検討に関する情報」にあたらないというべきである。

イ 本件情報が「実施機関内部」における「審議、協議、調査、研究又は検討に関する情報」であるかどうか。

 本件における「実施機関」とは戸田市教育委員会であるが、教育委員会は行政機関の一部であり、教育委員会の管轄下にある事項についても、市長が、市の行政庁として意思決定を行いこれを外部に表示する権限を有する。したがって、市の意思決定は、1999年(平成11年)10月20日に市長から厚生大臣あての「1999年度(平成11年度)少子化対策臨時特例交付金の交付申請について」と題する申請書が提出された時点で一応完了したというべきである。よって、本件情報は、意思決定の過程は終了した後の、むしろその意思決定の結果に関する情報であって、もはや「実施機関内部」における「審議、協議、調査、研究又は検討に関する情報」ではない。

ウ 本件情報が「実施機関と国等の機関との間」における「審議、協議、調査、研究又は検討に関する情報」であるかどうか。

 「少子化対策臨時特例交付金」は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の適用される補助金であって、厚生大臣から決定の通知がなされるにあたって、市長から出された申請書に記載された内容に修正が加えられる可能性がある。

 したがって、本件部分公開決定がなされた1999年(平成11年)11月18日においては、本件情報は、「実施機関と国との間」における「審議、協議、調査、研究又は検討に関する情報」であったといえる余地がある。しかし、そのことを考慮に入れても、遅くとも決定通知が市に到達した1999年(平成11年)12月8日には、実施機関である市と国との審議、協議は終了したとみるべきである。したがって、現時点においては、本件情報はもはや「実施機関と国との間」における「審議、協議、調査、研究又は検討に関する情報」であるとは認められない。

 また、「少子化対策臨時特例交付金」が、最終的に受け取り先に配付されるには、議会の予算審議及び承認を経る必要があるが、これは、市の執行機関が意思決定を終えたのちに、市の議決機関である議会が独立して審議し意思決定を行うのであって、これは地方公共団体において執行機関と議決機関が設置されている制度上当然の事態であり、実施機関である執行機関と議決機関との間において審議、協議がなされるものではない。本条項は、このような場合にはそもそも該当しないものである。もし、このような場合をも非公開にすべき事由に該当すると解するならば、議会の審議が終わるまではあらゆる情報が公開できないことになり、「市民の知る権利を保障することにより、市政の公開性の向上と公正の確保を図るとともに、(中略)…市民の市政へ参加を促進」しようとした条例の趣旨が没却されることにもなるので、到底これを条例第8条第1項第4号に該当するものとすることはできない。

 したがって、市の主張には理由がなく、条例第8条第1項第4号を理由として非公開とすることはできない。

 以上のとおり、市が本件情報について非公開の理由とする条例第8条第1項第1号、同第2号、及び同第4号については、いずれも該当するものと認められないから、「1審査会の結論」のとおり判断する。

別紙 目録

ア 「少子化対策臨時特例交付金の活用について」と題する書面(ただし、1999年(平成11年)10月20日付け戸田市長から厚生大臣あての交付申請に添付されたもの)

イ 1999年度(平成11年度)少子化対策臨時特例交付金所要額調書(ただし、1999年(平成11年)10月20日付け戸田市長から厚生大臣あての交付申請に添付されたもの)

ウ 1999年度(平成11年度)少子化対策臨時特例交付金所要額内訳(ただし、1999年(平成11年)10月20日付け戸田市長から厚生大臣あての交付申請に添付されたもの)

エ 2000年(平成12年)1月27日付け厚生常任委員会参考資料「少子化対策臨時特例交付金の活用について」と題する書面

オ 「戸田私立幼稚園少子化対策事業経費所要額調べ」と題する書面

カ 「戸田市私立幼稚園少子化対策特例交付金(最終案)」と題する書面

別紙

少子化対策臨時特例交付金に係る経過

1999年(平成11年)

7月21日 国会において、補正予算成立(約2,000億円)

7月22日 全国少子化対策主管課長会議(交付要綱(案)提示、交付限度額(県別)、質疑応答、その他)

7月29日 少子化対策市町村担当者会議(交付金概要として交付限度額が示された。県内市町村総額約98億円、戸田市1億4,320万7,000円)

8月10日 少子化対策臨時特例交付金交付に係る第1回調整会議

9月3日 民間保育園に対する少子化対策事業経費所要額調べのヒアリング

9月 少子化対策臨時特例交付金に係る一般質問

10月6日 少子化対策臨時特例交付金交付に係る第2回調整会議

10月13日 少子化対策臨時特例交付金交付に係る第3回調整会議

10月20日 1999年度(平成11年度)少子化対策臨時特例交付金の交付申請

11月11日 異議申立人より情報公開請求

11月18日 情報部分公開決定

11月24日 部分公開決定通知書送達

12月1日 定例市議会に戸田市少子化対策基金条例及び補正予算案提出

12月3日 異議申立人に公開

12月8日 補助金交付決定通知受理

12月15日 異議申立人から異議申立書受理

12月21日 少子化対策臨時特例交付金に係る第4回調整会議

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